チーズが紀元前から存在する!?
紀元前からチーズが作られ、伝統的な製法が今も数多く残っているスイスから、おすすめチーズのベスト5をご紹介。
はじめに
スイスでのチーズ作りの歴史はかなり古く、紀元前の古代ローマ帝国の文献にはすでにスイスで作られたチーズを輸入していたとの記録があります。以来二千年以上に渡り、スイスのチーズはヨーロッパ中で、そして近年では世界中で食べられています。
それでは私の独断と偏見でおすすスイスチーズのベスト5を選んでみました。
第5位 テットドモワンヌ
もともとは、ほとんど地元のみで消費されるマイナーなチーズでしたが、80年代にジロールという、このチーズ専用の削り器が開発されてから、爆発的に世界で流通するようになったチーズです。
ジロールにセットして取っ手をくるくる回すと、花びらのようにチーズが削れます。口に入れるとふわっと溶けて、チーズの香りが広がります。フルーティーな白ワインとひとりで楽しむのもよいですが、見た目がおもしろいのでパーティーの余興にもピッタリです。
第4位 ラクレット
ラクレットはチーズの銘柄でもあり、チーズを溶かしてジャガイモや野菜やパンにかけて食べる料理名でもあります。中世ではアルプスの酪農家のあいだで食べられる郷土料理でしたが、今や世界中で広まり、チーズフォンデュと並んでチーズグルメの双璧となっています。
ラクレット料理だけでなく、グラタンやピザなど、溶かして食べる料理なら何でも美味しいです。皮付きの切り身を買った方は、ぜひ皮の部分も一緒に溶かして食べてみてください。パリッと一味違った風味が味わえます。
第3位 アッペンツェラー
アッペンツェラーはハードチーズですが、熟成中にスパイス入りの白ワインで洗うため、微かにウォッシュタイプのような風味と独特のピリッとしたスパイシーさがあります。乳脂肪が50%もあるので、生地そのものの食感はなめらかでこくがあり、香りと比べて意外と食べやすいチーズです。
アッペンツェラーは熟成期間によってパッケージの色が違います。熟成4ヶ月以内なら銀ラベル、6ヶ月以内なら金ラベル、6ヶ月以上は黒ラベルとなり、熟成期間が長いほど独特の風味が強くなってきます。銀ラベルは白ワインかフルティーな赤ワイン。黒ラベルならフルボディーの赤ワインまで。熟成の度合いによって合わせるワインは調節し、初心者は銀ラベルから試していって好みのタイプを見つけてください。
第2位 グリュイエール
今や世界中で食べられているチーズ料理の大定番「チーズフォンデュ」に使われるチーズがこれです。通常はこれとエメンタールを半々で使います。加熱するとよく伸びるのでグラタンやピザなど加熱する料理に力を発揮します。
すり潰したジャガイモと溶かしたトム・フレーシュというチーズを混ぜて作る伸びるマッシュポテト「アリゴ」という料理がありますが、トム・フレーシュはなかなか手に入らないため、その代用品によく使われるのがグリュイエール。肉料理などの付け合せに最適です。
第1位 エメンタール
漫画に出てくるチーズといえば、穴がボコボコ空いたチーズがよく描かれますが、あの穴の空いたチーズがまさにこのエメンタール。アメリカでは「スイスのチーズ」と言えばこのエメンタールを指すほどポピュラーなチーズです。
われわれは店頭で切り売りしたものしか見ることはありませんが、元のサイズは直径が約1メートルと、何気に世界で一番大きなチーズであります。
おわりに
スイスと言えばアルプス、というわけで、やはりハードな「山のチーズ」ばかりになってしまいました。山のチーズは保存に優れ、そのままでもよし、加熱してもよし、パンにもサラダにも調味料にも適し、お酒もだいたい何でも合うという、汎用性がとても高いところが魅力です。ぜひお好きな食べ方でお楽しみください。