映画界の歴史を辿ってみても、彼ほど巨大な地位を確立した映画監督は数少ないでしょう。彼の残した作品や逸話の数々は、映画界のみならず、音楽、モダンアート、デザイン、演劇などを含め、あらゆるクリエイティブな産業への新たな刺激とアイデアを提示しました。

はじめに

彼の作品には独特のユーモアと奇妙なカメラワーク、突出した演出力、原作に捉われない自由な発想など、多くの人々に影響を与える要素が十二分に詰まっています。
彼自身、極度の完璧主義者と言われており、一つの取るに足らないシーンであっても自身が納得するまでは何日でも撮り直すなど、作品に対するその妥協のない姿勢は、多くの信者も同時に生みだしています。

この記事では、この希有の映画監督であるスタンリー・キューブリックが生み出したおすすめ映画7選をご紹介していきます。

時計仕掛けのオレンジ


もはや説明不要の大人気映画である「時計仕掛けのオレンジ」ですが、卓越したストーリー構成、奇妙なセット、緊張感あるカメラワーク、未来のナッドサット言葉など現在でも多くのフォロワーを生み出し続ける傑作映画です。

2001年宇宙の旅

60年代に制作されたとは思えないほどの鮮明な宇宙の描写や、自己保身のために人間を支配しようという意思を持つ万能なコンピューターが登場するストーリーなど、現代社会の発展と先行きを予告するかのような、映画史に名を残す不朽の名作です。

博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか

前述の二作品と合わせて、SF三部作(キューブリック自身の発言ではないとされる)とも呼ばれるこの映画は、人類による核戦争の愚かさと欲深さを、得意のブラックユーモアでまとめあげた人気の作品の一つです。このやたらと長いタイトルも気になります。

ロリータ


ロリコンの語源が知られるきっかけとなったとされるこの映画は、全編モノクロの作品で、亡命文学の代表格の一人であるロシアの小説家ウラジーミル・ナボコフの小説を映画化しました。
原作に忠実でありながらも、時折キューブリックらしいユーモアを交えて語られるストーリーはさすがの一言です。

シャイニング


当時人気絶頂であったジャック・ニコルソンを主演に起用し、人気ホラー小説家スティーブン・キングの原作を映画化しました。
この映画は原作とは異なる箇所が多くあり、原作者であるスティーブン・キングからの批判も絶えませんでしたが、キューブリックの思想が垣間見えるとともに、終始スリリングで目が離せない展開は、興行的にも大きな成功を収めるきっかけとなりました。

フルメタル・ジャケット

ベトナム戦争を題材に、キューブリックらしいアイロニーが多数登場するこの戦争映画は、長い年月を経ても、まったく色褪せることのない名作として、多くのファンを持っています。
物語に登場するザ・米軍とでも言えるようなハートマン軍曹の口癖のような下品な言動は一見の価値ありです。

アイズ・ワイド・シャット

当時どちらも大スターで実生活でも夫婦であったトム・クルーズとニコール・キッドマンを起用した曰く付きの作品で、キューブリックと主演2人を含めた関係者4人だけの極秘試写会5日後に、キューブリックが突然心臓発作で他界してしまい、多くの波紋を呼びました。
キューブリック自身の意思で、作品に関しては一切口外せず、極秘裏に編集が行われた作品であったため、何か口外できないような内容が告発されているのではないかと噂も囁かれました。
怪しい雰囲気が付きまとうこの作品が、キューブリック監督の遺作となっています。

まとめ

いかがでしょうか。
今回はスタンリー・キューブリックの生み出したおすすめ映画7選としてご紹介しました。他にも彼の生み出した作品の多くは、常に刺激的で多くの大衆へと多大な影響力を持っています。
興味のある方は、ぜひ一度キューブリックの全作品を観賞してみてはいかがでしょうか。